RoomNo.0415

赤黒好きの管理人による赤黒のための妄想を吐き出すブログページです。日々のことも書いていきますが基本腐ってます。ブログアイコンは黒木紅華さまに描いていただきました!!ありがとうございます(´艸`*)

またしてもおにゃのこ。

 

今日は台風凄かったですね…!!

風が五月蠅くてスピーカー音量がめちゃくちゃ大きくなってましたw

 

さてさて、暇なので書き書き。

今日支部の方にうpしてきました赤黒♀です。

 

 

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≪赤黒♀≫

無自覚は有罪

 

 

 

 

「…これは、俺が来る必要ありました?」
「私だけでは暇だから連れてきただけだけど。」

父に引きずられて来た取引先の創立なんだか周年のパーティは一通りのお決まりのセリフを吐き終わり、主催者側提供の美酒美食によるもてなしへと移っていた。人目に付きにくい隅に父と二人で陣取り、化粧臭い女も擦り寄ってくる浅はかな男達も口八丁手八丁で交わしながら父へと文句を付ける。

「第一、父さんの取引先じゃないですか。正直俺はここに仕事頼む気、無いですし。」
「でもここの息子は馬鹿で単純で御しやすいぞ。お前好みの使いやすい駒だと思うが?」
グラスのシャンパンをくるりと回してニヤリと覗き込まれ、大きな溜息が漏れる。
「…馬鹿は使いたくないです。それに女にだらしないという噂じゃないですか。そういう人間は信用できません。」
「お前が恋愛を語るか。」
「何言ってるんです。俺は一途ですよ?」
「…うっさんくさいなお前。」
「息子に対して失礼な。」

 

二人してぶつぶつと文句を言っていると、目の端に見覚えのある水色を捉える。
「…テツナ?」
「どうした征十郎。」
「…知り合いが。」

よく見ると、如何にも。といった作られた笑みの元チームメイトだった。
隣には今日の主催の一人息子が立っており、執拗に声をかけているのが伺える。

最後に会ったのはもう二か月以上前になるだろうか。
中学時代のチームメイトの黒子テツナ、その人だった。
腰まで伸ばされた髪をふわりとゆるくカールさせ、淡い色のカクテルドレスをまとった姿はなかなか見ない姿で儚げな美しさを助長している。
手に持ったグラスには既に半分以上無くなったワインがゆらゆらと小さな波を作っているが、俺の記憶ではテツナは下戸だったはず。

隣に立つ男の卑しい笑みと、困ったように作った笑みを浮かべて顔色を悪くしているテツナから容易に想像できる状況はテツナの見た目に寄った虫が苦手な酒を強要していると言ったところだろう。

手に持っていたグラスを近くのボーイに預けて父に少し席を外すと伝え、後ろで逃げるな。という文句が聞こえた気がしたが、正直父の暇潰しなんかよりも比べるまでもなく大切な案件だ。

少し目を離した間に本当に体調が悪くなってきたらしいテツナの腕をつかむ男。
それを視界にとらえた瞬間、目の前が赤く染まる。
徐に二人に近づき、ふらついたテツナ身体をぐい、と引き寄せる。
「へ?」
「なっ…、貴方は…!」
状況を把握しきれずに言葉を詰まらせる男になど目を向けずに、キョトンとした表情で俺の顔を確認し驚いたように目を開くテツナへと言葉を紡ぐ。
「テツナ。ここにいたのか。」
「う…?あか、しく…?」
なんでここに、と雄弁なベビーブルーの瞳が語っているが俺からしたらお前こそなぜこんなところにと言いたいが。
「苦手なのにお酒呑んだの?…すみませんね、僕のテツナがご迷惑を。」
「は、赤司さん…のご子息ですよね?黒子くんとどういう…」
「ふふ、高校時代からの僕の大切な人ですよ。」
「…そうですか。」
「ええ、なのでその手を離してもらっていいですか?」
「あ、あぁ。」

やっと汚らしい手がテツナから離れたのを見届けてから、着ていたスーツの上着を脱ぎテツナのドレスの上からくるりと巻きひょいと抱え『ここを離れるから静かに、大人しく捕まってろよ。』と耳打ちし、こくりと頷いた姿を確認してから「失礼。」と言い捨てて会場を出る。

 

*

 

 

テツナを抱えたまま車へと戻り、車内へと降ろす。
「少し待ってて。」と言い、父へ電話で簡潔に俺はもうこのまま抜ける旨とテツナの方の後始末を頼む。
なんでもテツナはあの取引先の会社で働いていたらしい。OLだという認識しかなかったため気づかなかったが今日は人が足りずに接客に駆り出されたところ、あの男にしつこく追い掛け回されたのだという。
赤司の名前を出すのだからなにも文句は言わないだろうし言わせないから、あとは父に任せればいい。

 

そして、少し落ち着いた様子のテツナに車内にある水を飲ませたり薬を飲ませたりと応急的な処置をした後。
いつも彼女を叱るときの声色で「テツナ。」と名を呼ぶとびくりと肩を震わせてからおそるおそるといった様子で言葉を紡ぐ。
「助かりましたありがとうございます…。まさかワイン半分でこんなに調子が悪くなるとは。」
「そこじゃない。いや、もちろんそこもなんだが。」
「はい?」
「…お前は、自分が可愛いことを理解しろ。それから、俺たち以外の前で酒はもう口にするな。いつまでも周りに俺たちや火神が居た頃のつもりでいると今日みたいなことが何度でも起こる。今までは俺たちが傍に居て目を光らせていたし、お前も着飾ることをしなかったからお前の可愛さに気づく人間は少なくて済んだが…これからは違う。今日みたいなパーティーだって何度でもあるだろうし、そのたびに着飾り目を引くことになる。危ないことになる前にしっかりと自覚して、自衛しろ。分かったかテツナ。」
厳しい顔で言い放ったことは自覚している。だって今、言葉を紡いでるこのこの時にまたあんなことがあったらと俺の手は震えているのだから。

一呼吸を置いて、小さくごめんなさい、と声が聞こえた。

「-…ーー。」
そして、無意識に腕の中にテツナを囲っていた。
「…何もなくてよかった。」
実は、顔色が悪いことよりも。酒を呑んだことよりも。
あの男が黒子に触れていたことが1番腹が立って、同時に怖かった。
「もし、俺が居なかったら。気づかなかったらと思うとゾッとする…。」

黒子はビックリしながらも、安心したように赤司の胸に縋っている。
「もうこんな思いは二度としたくない。好きだ、好きだよ黒子。お願いだから、俺の傍に居て…必ず助けるから。」

 

 

 

*

 

 

実は高校時代からの両方想いだったことが後に黄瀬により発覚したりする。

 

≪何時でも妄想可能な暴走機関車夏目がお送りいたします≫